年金制度への理解
年金というと高齢になってから受給するものというイメージがあります。
でも年金にはそのほかにも遺族年金や障害年金など、若い年齢の時に安定的な生活を送ることが困難になったときのための年金があります。
その中でも特に障害年金は若い年齢の時にこそ必要になるもので、若年層のための年金ともいわれています。
障害年金を受給するためには何よりも年金にきちんと加入していることが最低条件になります。
どんなに健康な人でも不慮の事故や病気にかかる可能性はゼロではありません。
今、特に若年層を中心に年金への未加入者がどんどん増えている事が何かと問題になっていますが、自分たちが加入する年金が今後どうなるかさえわからない想像もできないほどはるか先の未来の年金受給のために支払うのだと考えると、それでなくても不安定な雇用の中できちんと毎月一定の年金を支払い続けるのは簡単なことではないかもしれません。
その結果苦しい生活の中で無理に年金を支払ったところで、将来自分たちが高齢になった時に本当に年金がもらえるかどうかわからないという考え方が蔓延してしまい、年金など加入しなくても良いのだという身勝手な発想を生むことに繋がりました。
しかし、年金は高齢になってもらうものばかりでなく、病気やけがで働けなくなったり、万一主になる労働者が不慮の死などに合っても生活を少しでも安定的に支えてくれるための大切なものなのです。
特に障害年金は独身で若い年齢の時に障害状態になった場合でも、きちんと年金制度に加入していることで、条件を満たせば受給することが出来ます。
年金制度は人生における大切なセーフティネットなのだということを理解し、誰もが必ず加入することが必要な制度で、そうしたことをもっとわかりやすく若い年代にも丁寧に説明することも必要なのだと考えられています。
障害年金を受給できるための要件
まずはその障害の原因になった病気やけがなどの初診日を特定し、その初診日現在で国民年金や厚生年金、共済年金などのどれかに加入している必要があります。
そして初診日の前に決められた月数以上保険料を納付しているか、あるいは免除を受けている事が必要です。
基本的には20才になった時点で年金制度への加入が義務付けられているのですが、20才になった時点で学生の場合なら本人に収入が無いことから免除の申請をすることが少なくありません。
この免除の申請というのは年金制度に加入はしているけれど、保険料の支払いだけをあとに延ばしてもらうという制度で、年金の支払い義務があるにもかかわらず何も手続をせずに支払いを滞納してしまう場合とは全く意味が異なります。
免除の申請をすることによって、その期間も保険料納付要件の納付済み期間に計算されることになるので、万一障害状態に陥った場合でも年金を受給する資格を得ることができます。
そして自分自身の障害の程度が年金における障害等級に該当していることが受給のための要件になります。
間違えやすい障害等級の捉え方
自分が障害状態に陥ったとき、自分が加入する年金の受給要件に該当するかどうかをまずは判断する必要があります。
そして障害状態の時に受給できる年金には身体的な障害だけでなく知的障害や精神障害といった種類の障害も該当するものがあります。
そして障害等級の認定を受けるに当たって間違えやすいのが、身体障害者手帳に記載されている等級がそのまま年金の障害等級に当てはめてしまうというものです。
たとえば心疾患の人が体内にペースメーカーなどを埋め込んでいる場合、身体障害者手帳の等級では1級に当たるのですが、年金の障害等級では3級に認定されることになるため注意が必要です。
身体障害者手帳の等級が1級だから年金の障害等級も1級に該当すると勘違いすることはとても多いようです。
ただし、精神障害者保健福祉手帳の障害認定基準と、精神疾患による障害年金の障害認定基準に関しては同等と考えて差支えがないといわれています。
障害認定日の考え方
障害に関する年金を受給する時に大切になるのが認定日です。
年金における認定日というのはいわば治った日ということになるのですが、これは初診日から1年6ヶ月以内に症状が固定した日の事を意味します。
そしてさらにいうなら、治療をおこなってもそれ以上に効果が期待できない状態になることも治ったということに該当する点が特殊です。
治った状態であるかどうかというのは医師によって治癒認定を受けることで証明されるのですが、例えば腕や足を切断したといった障害の場合それ以上徴しても素の状態に戻ることは無いので1年6ヶ月もの間待つ必要は無く、一般的には切断した日または傷が完治した日が認定日に当たります。
また心臓に人工弁などを装着した場合や腎不全で人工透析を始めて3ヶ月経過したときなども、それが初診日から1年6ヶ月経過する前であれば障害認定日として取り扱われます。
最終更新日 2025年7月9日