(1)輸入に頼っている石油事情
石油は、硬くて動き難い地層に溜まっています。
使う為には、地上から石油が溜まっている地層まで掘削をしていき、井戸の様に汲み上げていかなければいけません。
取り出したままの石油は原油と言って、製品化するには精製作業をする必要があります。
精製されると、一般生活でもよく見られるガソリンや灯油、軽油、重油等の燃料として使用できます。
単純計算で、現在地球にある残量は後50年分程と見積もられています。
新しい油田が発見される可能性等も無いではありませんので、誤差は色々出るでしょうが、間違いなく枯渇する資源です。
枯渇を意識し、残りを効率良く使う事や、新しいエネルギーの開発は急務となっています。
今の所、世界で最もあるとされている国々は中東に集中しています。
サウジアラビアが筆頭で次がベネズエラ、後はカナダにイランとイラクという順番になります。
中東には大富豪が居るというイメージも多いですが、その財力の元手は、油田による所が相当に大きいです。
日本も、石油を備蓄しており、問題が発生した時に、即座に使える量は大体114日分で、民間の分は86日分程になります。
原油は中東諸国から日本までは、タンカーで大体20日程で運ばれて来ます。
東南アジア近辺からは7日程で四日市の辺りに荷下ろしされる事となります。
タンカーの大きさは長さにして330m、高さと幅は60mにも達します。
名古屋城の高さが約56mである事を考えるなら、それよりも遥かに巨大な船を使って、日本まで原油は運ばれて来ているという事です。
それだけの量が、現代日本の生活には必要なのだと見る事も出来ます。
(2)石油は環境問題に直結している
少量ながら原油が日本の民家等から出た等のケースも無いではありませんが、それでも主だった産油国に比べると微々たる物となります。
商用利用以前に火事や土壌を汚す原因となってしまう事の方が先になってしまうケースもあり、行政によっては、処理する機械の購入を補助してくれる事もあります。
商用に使用するには純度の問題があり、その基準を満たし得る原油が出る場所となると、極限られた物になってくるという事です。
原油を石油製品に精製するには、液体は熱すると気化する性質を利用します。
小さくて軽い油であればある程、低い温度で気化しやすくなっています。
ですので上部と下部で違う温度を持つ蒸留塔に原油を入れれば、軽油や重油、プロパンガスやアスファルト等、違う種類の油を同時に精製していけます。
どれか一種類の油だけを作る等で分けられたら、効率が良いという考え方もありますが、現在の技術ではどれか1つだけを狙って精製する事は出来ません。
ただ、アスファルトや重油の重い油をガソリンや軽油等の軽い油に変換する事は可能であり、この作業を分解とも言います。
蒸留したばかりの油には硫黄が相当に含まれており、精製技術が未発達な頃には公害の原因になってしまう事もありました。
硫黄が酸性雨や喘息等に大きい影響を出したからですが、現在は製油所で硫黄を確実に取り除く事が出来る様になっています。
この硫黄除去の行程を脱硫と言って、これにより公害も随分落ち着く事となりました。
(3)生活に欠かせない石油の取り扱い方
石油製品は取り扱いに、一定の注意が必要でもあります。
例えば灯油の場合ですが、ポリエチレン製の専用容器や一斗缶等で保管するのが一般的です。
他にも紫外線で劣化しますので、直射日光が当たるような場所に放置するのは避けなければなりません。
ですので、室内保管で出来るだけ涼しい所へ置くのが理想的です。
温度による膨張で中身が噴き出る事や、雨水が流入する事でその時点で使い物にならなくなるリスクを避ける為でもあります。
1シーズン全く使わなかったという場合等は、その灯油は劣化していると見なせますので、処分という事になります。
領収書を確認の上で近隣のガソリンスタンド等に持って行くと引取って貰えます。
他にも、ストーブに少し残った場合等でしたら、その分はしっかりストーブ内で使い切る事が基本です。
灯油はとても火力が強いですので、ストーブから出して、焚火に使おうとしたりすると想像以上に燃えてしまい事故に繋がる事があります。
手に付いた場合等は、丁寧に石鹸等で洗い落とせば問題ありません。
服に付いた場合等は、下洗いした後に洗濯機で洗浄すれば綺麗に落ちます。
特に油関係の作業をした後は、油除去の段取りは必須項目と考えておいた方が良いです。
気づかない間に少し付着していた程度でも、火の近くを通った時点では大きい炎になったりします。
気化しやすい油を扱う場合は特に注意が必要です。
思わぬ程に大きい火が付くという点では、ガソリンも用心した方が良い製品と言えます。
常温で簡単に気化する性質を持っており、静電気等でも引火して爆発します。
灯油と共通になる部分も多いですが、特にガソリンスタンドでの給油中や近くでガソリンが漏れているかもしれない事故があったという様な時には、火気厳禁です。
煙草は当然ですが、静電気等でも心当たりがある場合には現場を離れる様にしないといけません。
どの場合でも油に関連する製品を使う場合は、細心の注意が必要という事です。
最終更新日 2025年7月9日